中国の行き詰まりからハイイールド債のデフォルトへ

投稿者: | 2016年1月9日

2016年最初の週に起こった中国関係のイベントを時系列で追うと以下のような感じになります。
 
・財新マークイットの製造業PMIが10か月連続で50を割り込み市場予想より悪かった。
・中国の為替当局が、中国元のレートを対ドルで5年来の安値に設定した。
・これを受け、キャピタルフライトが発生し、シンセンB株と上海株で4日間に2回サーキットブレーカーが発動、世界同時株安の原因に。
 

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xe.comより

以上のように、散々な新年を迎えた中国ですが、なにも今年に始まったことではありません。現在、中国が抱えている実体経済の減速と金融政策の矛盾を整理してみました。
ざっくりした流れは以下の5ステップになると思います。
 
①ドル高により国内製造業が不振
②中国元の切り下げで競争力を回復
③景気が悪いうえに通貨安になるので資金が海外に逃げる
④負債を多く抱えた国内企業の資金繰り悪化
⑤景気刺激策(利下げ、通貨切り下げ、資金供給)
 
以下③-⑤の繰り返しです。昨年夏の株価急落からこの流れの中にあり、先日発表された外貨準備高の減少が、これを裏付けていると言えます。この流れを断ち切るべく、中国政府は④で手を打とうとしていました。それがIPOの再開です。しかし、これが諸刃の剣で見事に自爆しました。
 
a. IPOによる負債の資本化で企業財務の改善をしたい
b. 資金の回転を上げるため、2015年夏に凍結した大口投資家の持ち株売買の再開
c. お金持ちはIPOする企業が買う価値のない事を知っているので、換金できた資金を国外に持ち出す。
 
以下、最初の③-⑤の流れへ。
 
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中国元のSDRへの採用

もう一つ中国側の勘違いを指摘すれば、昨年末に採用されたSDRを過信したことでしょう。名目上、中国元が国際通貨として認められたような感じになっていますが、SDRは金本位制度時代の遺物であり、ただのシンボルです(Market Hackより)。中国がほしがったので、同国にすり寄りたい欧州勢がお土産としてあげただけです。
 
この勘違いをベースに自信を得た中国は通貨切り下げをしても資金が逃げないと思ったのでしょう。権威主義的な思想の政府と実利主義の実業界の溝が顕著に表れ、年始早々の派手なキャピタルフライトになりました。
 
ここまでは、中国からの資金逃避という話で済みますが、国際経済に影響を及ぼすもう一つのトリガーが引かれてしまったようにも感じます。それは原油で、中国の需要で価格を維持していた原油の底が抜けてしまいました。そのうえ、供給側もサウジアラビアとイランの国交断絶などで生産調整のめどが立たなくなり、需要不足と供給過剰の二重苦で原油安が止まりません。
 
これだけならエネルギー価格が安くなるだけなので日本や資源輸入国はハッピーなのですが、重大な問題があります。それは原油下落の原因の一翼を担ってきた米国のシェールオイル・ガス企業の倒産ラッシュです。
 
もともとサウジアラビアは、米国に原油市場のシェアを奪われないようにするため生産を維持してきました。同国からすればあと一息で生意気な新参者の息の根を止められるのです。このため、世界一の産油国が原油価格の下落を主導する状況が続きます。
 
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高利回りで人気だが、倒産リスクも高い(フェディリティより)

この行き着くところは、米国での原油関連企業の倒産であり、関連債券のデフォルトです。この債券はハイイールド債と呼ばれる高利回りのものが多く、米国債券市場でも2-3割のシェアを占めています。この半分でもデフォルトとなればリーマンショック時のモーゲージ関連債のデフォルトに匹敵する規模となります。
 
米国で流通しているため、悪名高いCDSも大量に組成されています。よって、どこに紛れ込んでいるかわかりません。この時点でパニックになる環境が整うわけです。
 
前半は中国の実需不振でしたが最終的には原油関連のハイイールド債のデフォルトまで話がつながりました。妄想と言われればそれまでですが、おそらく今年起こるあらゆる金融イベントの根底にある流れだと思います。

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