Bloombergがフラジャイルファイブに変わって、トラブルド・テンを発表しました。これは中国の景気減速と通貨切り下げに最も影響される通貨10カ国を指しています。左のグラフのようにすでに大きな影響を受けていることが分かります。これら10カ国は以下3つの特徴を持っています。
1.中国と貿易が密接
輸出相手の1位、または2位が中国
2.経済の輸出依存度が高い
輸出による収入で国家収入の多くがまかなわれている
3.中国と輸出競合相手である
中国と同じ輸出品を抱えており、その比率が大きい
今回上げられたのはこの10カ国ですが、個人的にはマレーシアもこれに入ると思います。まだスカスカですが、現在分かる範囲の情報をリストアップしておきます。ETFも参考までに乗せておきます。
1.ブラジル・レアル
1325 ボベスパ指数
2.コロンビア・ペソ
3.チリ・ペソ
4.南アフリカ・ランド
中国への輸出が総輸出の37%
5.ペルー・ヌエボ・ソル
6.韓国・ウォン
中国への輸出が総輸出の30%
1313 KOSPI200
7.タイ・バーツ
1559 SET50指数
8.ロシア・ルーブル
1324 RTS指数
9.シンガポール・ドル
10.台湾・ドル
中国の通貨切り下げは、まだ始まったばかりだと考えられます。景気対策の通貨安と言う意味では日本のアベノミクスも80円/ドルから120円/ドルまで50%近い通貨下落をさせました。それを考えると中国も2016年末までに20%程度の切り下げは、十分ありえると思います。
ここでまずいことは、おそらく中国の元安は世界的なコモディティの下落を伴い、世界のディスインフレを加速する可能性があると言うことです。コモディティを使った大規模なインフラ整備の需要があるのは、中国であり、その中国の需要でコモディティの価格が決まっていた部分があります。そうなれば、当然中国の需要や購買力が落ちればコモディティの価格は修正されるでしょう。どこで価格が落ち着くかしっかり見極めながら、10カ国のショートポジションを維持したいところです。
一方で、米国は国内の景気回復が順調なため利上げが必要になりそうです。もし利上げをしないで、中国発の景気後退を理由に世界中の投資マネーを引き上げれば、あっという間に国内でバブルが発生し、リーマンショックの二の舞になるでしょう。とはいえ、世界の2大経済大国が金融政策で逆向きの動きをすればトラブルド・テン以外の国も大きな被害を受けそうです。
ますます世界のマネーフローが読みにくくなってきました。慎重な対応をしていきたいところです。
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