中国発の金融不安定化はこれからが本番

投稿者: | 2015年8月29日

先週末はリバウンドにより、世界中の株価が大幅に戻しました。しかし、これは売り方の買戻しが主な理由のようです。報告されている中国金融関連の情報は、想像よりも悪いことが判明しつつあります。

概要

・7月だけで2014年の経常収支額の2倍を超えるキャピタルフライトが起こった。

・6月時点で中国四大銀行の不良債権比率が1999年バブル処理前の日本と同レベルになった。

 

・中国の外貨準備取り崩し

この記事にあるように、今年に入って中国からのキャピタルフライトともいえる資金の流出が一向に止まらない状態です。

外貨準備取り崩しが招く中国発「量的引き締め」(ロイター)

中国の収支は

貿易収支 2,600億ドル(2013年)

経常収支 2,197億ドル(2014年)

(対GDP比 約2.02%)

となっていますが、7月の外貨取り崩し高は、前年比5000億ドル(60兆円、120円/ドル)もありました。つまり、1ヶ月で2014年の稼ぎを吹き飛ばした言うことになります。さらに、8月後半の資金供給は1,000億ドル(10兆円)を越えており、キャピタルフライトに歯止めがかっていません。これに対し、3兆6,000億ドル(400兆円)の外貨準備があるため、まだ余裕はありますが、一度マネーフローをとめない限り、この余裕も長くは続かなそうです。

もし、400兆円もの外貨準備を吐き出した場合、誰が引き取るのか?

まず、米ドルの前に別の外貨(ユーロ、円、ポンド)が売られることが考えられます。この過程で、ユーロとポンドは急激なインフレに見舞われる可能性が高そうです。特に南欧は債券の外国持分比率が高いので、金融危機を誘発する可能性があります。こうなると、中国の最大の貿易相手であるユーロが不安定化します。

次に、米国債が売られ急激な下落(利回り上昇)が起きると、米国の景気も金利上昇によって、腰折れする可能性が高そうです。誰も買わない国債はFRBが買い取るか、強制的に償却するしかなさそうです。もしFRBが買い取れば、日本と同じタイプのQEになります。一方で、強制償却はマネーの縮小となり、金融引き締め効果をもたらします。マネーの縮小は金利上昇による景気の抑制よりも強烈に効いてしまうので、米国発の世界不況に陥る可能性が高くなりそうです。

もし、日本と同じ中央銀行買取によるQEになると、米ドルが安くなり中国元が高くなってしまうので、中国の景気悪化を助長します。同時に国内のキャピタルフライトも止まっていない状態と考えられますので、本格的なスタグフレーションに陥る可能性があります。結局、キャピタルフライト阻止の外貨取り崩しが一周して、さらなるキャピタルフライトを招くことになります。この場合、2008年の通貨危機の再来となり、金(ゴールド)が暴騰する事が考えられます。コモディティの暴騰による悪性インフレが世界を苦しめそうです。

コモディティ上昇による悪性インフレは政変につながりやすいです。中東のアラブの春は記憶に新しいと思います。

こう考えると、中国の外貨準備取り崩しは非常に危険な賭けのように思えます。

 

・中国4大銀行の決算から見る景気の悪さ

4大銀行の上半期決算が出てきています。かいつまんで並べると

・中国銀行(03988)
1-3月  +1.4%
1-6月  +1.1%
不良債権  +1.4%(3月末は1.04%)

これに加えて、貸倒引当金が前年同期比2.9%増加した。

・中国工商銀行(01398)
1-3月  +1.4%
1-6月  +0.6%
不良債権   1.4%(3月末は1.29%)

要注意先債券は3.6%に増加した。

・中国建設銀行(00939)
1-3月  未確認
1-6月  未確認
不良債権  未確認

・中国農業銀行(01288)
1-3月  +1.3%
1-6月  +0.3%
不良債権   1.83%(3月末は1.65%)

要注意先債券は中国工商銀行で3倍近く増え、結局5%以上の不良債権があるのと同じレベルまで上がっています。7月の混乱を織り込んでいないことを考えると、まだ上がりそうです。

参考までに、日本のバブル崩壊後の不良債権比率は、1999年3月時点で6.1%でしたが、それにに近いレベルと言えます。

以上を加味すると、中国発の金融不安定化はまだ始まったばかりだと言えそうです。

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中国発の金融不安定化はこれからが本番」への2件のフィードバック

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