日本の国家財政と投資先としての魅力

投稿者: | 2015年9月22日

世界の国家財政を見たとき、日本とはどんな位置づけなのでしょうか?

世界第3位の経済大国であり、先進国最大の政府債務を抱える国であり、世界最大の債権国である、などなど、良いこと悪いことが入り組んでいていまいちピンときません。

そんなわけで、日本の現状を人口動態と財務から読み解き、将来の発展について考えてみました。

1.人口ピラミッド

0919 population pyramid japan 20152015年現在、団塊世代は65-69歳、団塊ジュニア世代は40-44歳に差し掛かっている。30歳代以下の人口は減少を続けており、歯止めのかかる様子はない。

出生率も、人口増加の目安である2.07からはるかに少ない1.4付近で推移している。このため、国内のあらゆる需要が減少しつつあり、世代間で引き継がれるような商品やサービスは供給過多によってデフレ化が進んでいる。よって供給サイドとしては、従来品では賄えない商品やサービスを提供しないと、経済的発展の見込みは薄いといえる。

一方、労働人口の減少による国力の減退を補う必要もある。これに対して、女性の社会進出で補おうという活動が活発化しているが、計算上足りないことは分かっている。外国人労働力の活用や、労働者単体の生産性向上が必須であり、かつ供給過多の既存産業以外を開拓する必要がある。

以上の需要と供給の現状から、従来にない商品やサービスを開発し産業化するイノベーション(革新)がなければ、人口推移のグラフのように国力が衰退していくことになる。

0919 population trend japan

2.財政

0919 debt japan政府債務がGDPの250%(約1000兆円)と先進国で最大になっており、これが金融政策で金利を上げられない理由のひとつとなっている。

仮に、金利支払が2%になると単純計算で年間20兆円の支出となり、2014年の税収の40%程度が金利支払で消えることになる。

現状、日銀の国債買取で国債価格を高く(利回りを下げる)維持し、利払いを抑えているともいえる。

0919 primary balance japan

 

この政府債務増加をとめるには基礎的財政収支の黒字化が必要となる。しかし、グラフのように、震災後GDPの8%近くの赤字(40兆円程度)となっている。これを埋めるために国債の発行が行われており、国債利払い費の増加も止まらないと言う悪循環に陥っている。

 

 

0919 currency balance japan財政の悪化を食い止めるには、支出の減少も重要だが海外との交易で収入を得ることも重要になる。

これに対し日本は定常的な経常黒字国であり、近年の貿易赤字体質化に対しても投資収益で何とか黒字を保っている。

企業で言えば損益計算のうち負債の利払いを除けば黒字でビジネスが回っている状態である。国は企業と異なりお金を印刷できると言う特権があるので、大丈夫なようにみえる。

しかし、印刷されたお金の価値はUSドルを中心とした外貨準備高や国内の貯蓄によって保証されているようなものなので、一度収支が赤字化すると一気に経済的破綻に陥るリスクも否定できない。

3.産業構造

概略

経常収支黒字で、債権国である日本は、国外投資による投資収益の拡大を見込んだ産業構造になりつつある。海外から国内への投資(対内直接投資)は2013年で2.3億ドル程度と小さいが、対外直接投資は1,357億ドルと圧倒的に大きく、マネーフローは国外への持ち出しの流れになっている。近年、これら投資の成果として配当や海外資産の売買による経常収入の増加が定常化しつつあり、資金の回転が成り立っている。

一方で、GDPの60%が個人消費にもかかわらず、原料や資源は輸入に頼っており、現在は主に原油の輸入によって貿易赤字が定着しつつある。貿易黒字化には、かつての加工貿易型産業構造への回帰も考えられるが、この構造はアジアへの工場移転などで崩れており、労働人口の低下と賃金の高止まりを考えても、単価の低い製造業が国内回帰することによる貿易黒字化は見込みにくい。

今後は新しい商品を開発し、製造は労働単価の安い国で行い、特許料や使用料などのロイヤリティ収入で経常収入の増加を進める産業構造を作っていくことになりそうだ。

主要貿易データ

GDP(国内総生産)  550兆円 (4,6160億$, 120円)

通関貿易収支

                 2015年        2014年

輸出 75兆6,316億円(+3.5%)      72兆8980億円(+2.9%)
輸入 78兆4,637億円(-8.7%)      84兆6690億円(+0.1%)

貿易比率(貿易額/GDP)   28.3%

輸出国 (%は全体に占める割合)

                       2015年        2014年

1位 米国       15兆2.249億円 11.50%,            13兆6,493億円 18.7%
2位 中国       13兆2,292億円 -1.10%,   13兆3,815億円 18.3%
3位 韓国                        5兆4,559億円 7.5%
4位 台湾                        4兆2,316億円 5.8%
(5位 香港                          4兆393億円   5.5%)
6位 タイ                        3兆3,198億円 4.5%

輸入国 (%は全体に占める割合)

                                    2015年          2014年

1位 中国        19兆4,203億円 +1.3%   19兆1,765億円   22.3%
2位 米国         8兆523億円 +6.8%     7兆5,427億円  8.8%
3位 オーストラリア                                               5兆897億円   5.9%
4位 サウジアラビア                                               5兆153億円   5.8%
5位 アラブ首長国連邦                                                 4兆3,998億円  5.1%

品目別 輸出 (%は前年比)

1位 自動車              10兆9,194億円 +4.9%
2位 鉄鋼                3兆9,584億円 +4.4%
3位 半導体等電子部品          3兆6,908億円 +3.9%
4位 自動車の部分品           3兆4,750億円 +0.0%
5位 原動機               2兆5,397億円 +0.8%

品目別 輸入
1位 原粗油             13兆8,734億円 -2.6%
2位 液化天然ガス           7兆8,509億円 +11.2%
3位 衣類・同付属品             3兆2,602億円 +0.4%
4位 半導体等電子部品         2兆8,710億円 +17.4%
5位 通信機              2兆8,652億円 +7.0%

 

GDPのうち貿易額が占める比率は28%となり、世界の中でも3番目に貿易額の比率が低い。(1位 ブラジル、2位 アメリカ)経済活動における貿易依存率が低いということは国内消費が大きく、国内の経済が安定しているととらえることができる。

一般に経済成長のためには、国内経済の規模を大きくするより貿易をしたほうが、マーケットが大きくなるため、貿易が必要とされている。しかし、貿易依存度が高すぎると、自国の経済が海外の景気動向に振り回されるという問題も出てくる。この点、日本は国内消費が大きいので経済が強いといえるが、貿易相手国や品目のバランスも重要になってくる。

また、日本は食料自給率が低いという問題もある。高付加価値品の消費が大きく、食料や原材料は輸入に頼っているため、このようなバランスになっていると考えられるが貿易に支障が出ても、国民を食わせられるだけの国内生産量はほしいところだ。
 
なお、金額ベースでは70%を超えるので問題ではないという意見もあるが、主要国は最低でも90%を確保していることを考えると、いざというときには90%以上必要であるという考えが、国際的なコンセンサスであるといえる。
 

貿易の特徴として、輸入の国別において4、5位が産油国であることがある。品目別では、輸入の1位である原粗油が資源安で減少傾向にあること、2位の液化天然ガスが増加していることなどが挙げられる。これは単価の変動と原料の輸入比率変更などが効いており、石油会社や電力・瓦斯系の会社が原料費削減のために取り組んでいることが反映されているようだ。

品目別から、近年の電子産業の衰退が、半導体等電子部品の輸出入金額と変動率から見て取れる。金額ベースでは輸出の方が多いが、伸び率は輸入が17.4%と圧倒的に大きい。電子と自動車が日本の貿易収入の柱となっているため、今後の動向しだいでは、貿易赤字の悪化が加速することも考えられる。

4.将来展望

人口動態では、人口減少に伴う需要減退と供給過剰が大きな問題になっている。さらに、高齢化による労働人口の減少も深刻な問題だ。一方で、自動車や電子産業など収益率の高い産業が国際競争力を持っているため、経済力の強さも維持している。

人口減少に対しては、出生率の向上や外国人労働者の獲得が主な対策になると考えられる。一方、労働人口の減少に対しては女性の労働参加が促されており、出生率の向上を妨げる要因になっている。定年年齢の引き上げまたは撤廃と、社会福祉による育児のサポートなどが重要になるが、社会福祉費用の増加が財政上の大きな問題になっている点を見ても、苦しい状況が続きそうだ。

高齢者の貯蓄を消費に向けて、内需のマネーフローにあてる、イノベーションによる新たな内需の喚起、輸出産業の育成など、経済を活性化する方策がますます重要になってくると考えられる。自動車や電子産業などの、競争力向上をめざした産業内構造の改革と、バイオなどの新産業育成が重要な収入源になる可能性がある。安全保障に関係した軍事産業の収益化も、国としては重要な位置づけになってきそうだ。

5.投資方法

国際通貨としてUSドル、ユーロに次ぐ規模で取引されている日本円は、国際主要通貨の一角で、流動性も高い。株式市場の開放も進んでおり、出来高の7割が外国人による取引となっている。Fxや各種債券先物などを含め金融の自由度が高いので、状況に合わせた投資対象を選べる。

個人的には、ETFを通じた世界各国の株式市場インデックスと商品への投資が、資産ポートフォリオの観点からも有効と考えている。

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日本の国家財政と投資先としての魅力」への1件のフィードバック

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