米国経済の構造と投資の展望

投稿者: | 2015年9月23日

世界金融危機で経済的、安全保障的にも大きく地位が毀損されたが、世界の超大国としての存在感は維持している。この8年で傷ついた経済を立て直し、世界戦略を練り直している米国の状況を分析し、世界のマネーフローをつかむヒントを得たいと思う。

【ニュース】 

11月9日の米国大統領選挙でトランプ氏が勝利し、米国の政策が大きく変わりそうです。

トランプ大統領の政策は正しいと思う

 

1.人口ピラミッド

0920 population balance グラフより、バランスのいい形になっている。戦後ベビーブームが18年続き、人口増加、消費牽引に大きな役割を果たした。また、団塊ジュニア世代20-24歳がおり、彼らの消費が最も増える40-45歳(2025年)あたりに、再び経済的に盛り上がる可能性を秘めている。

合計特殊出生率も2.0から2.1と人口が1%程度伸びる水準を維持している。 これに関しては、白人が約1.8に対し、ヒスパニックが約2.7とバランスに問題がある。黒人は2000年以降、同出生率が下がっており全体平均と同じ2.1位になっている。

同国の出生率の特徴として、婚外子の増加がある。北欧では50%を越える場合もあるが、特殊と言えそうだ。しかし、日本やアジア系に比べて、社会的に受け入れる雰囲気が出来つつあるようだ。

アメリカは年間70万人の移民を受け入れているが、近年はヒスパニック系が増えている。移民問題で起こりがちな治安悪化も問題だ。移民と出生率の高さにより、ヒスパニックの人口比率が17%(2012年)にまで増えているため、無視できない存在となっている。将来的に労働人口のマジョリティが白人でなくなるのは確実であり、そのときの欧州との関係変化が同国の将来を左右するかもしれない。

 

2.財政

0920 debt usa2000年以降、GDP比で60%以下だった政府債務が2008年から急激に増加している。これはリーマンショックを発端とする世界金融危機において、金融緩和を3段階にわけて続けた結果と言える。

2012年以降はQEの縮小により債務残高比率はほぼフラットになっている。しかし、先進国の中では債務残高比率が比較的高いと言える(ドイツ 78.4%, イタリア 132%)。

 

 

 

金融危機以前から、米国の財政・経常収支赤字(双子の赤字)は良く話題になっていた。そこに金融危機が来たのだから、破綻状態になっていると考えられる。しかし、実際は金融危機でプライマリーバランスも経常収支も悪化はしたが、急激な回復を遂げている。0920 primary balance usa

特にプライマリーバランス対GDP比は、2008年の-5%から2010年の-11%と一気に経済破綻しかねない勢いで落ちていた。しかし、2009年から急激な回復を遂げている。

 

これは、金融緩和によるドル安政策と、シェールガス・オイルの開発でエネルギーの輸入を大幅に減らし、貿易赤字の削減に成功した事が主な要因と考えられる。

0920 currency balance usa

エネルギーに関しては、シェールの大量生産により、国内のガソリン価格が国際価格の1/3にまで下落した。この結果、ドル安とエネルギー安の相乗効果で国内製造業の競争力が回復し、景気回復に大きく貢献したようだ。経常収支赤字が3%以下で推移しているのは、シェールの恩恵が大きいといえる。

 

 

 

3.主要産業構造

GDP 2,090兆円 (174,189億$, 120円)

 

データは外務省関税ベース

通関貿易収支(2014年)
輸出 1兆6,351億ドル(+2.7%)
輸入 2兆3,709億ドル(+3.3%)

貿易比率(貿易額/GDP)            22.4%
 
食料自給率(穀物ベース) 約124%
 

輸出 (億ドル)
1位 カナダ          3,016.10
2位 メキシコ     2,260.79
3位 中国              1,217.36
4位 日本                 652.06
5位 ドイツ             473.62

輸入 (億ドル)
1位 中国             4,404.48
2位 カナダ        3,325.53
3位 メキシコ    2,805.29
4位 日本             1,385.73
5位 ドイツ         1,143.45

 

GDPのうち貿易額が占める比率は22.8%となり、統計のある主要国の中で2番目に貿易額の比率が低い。(1位 ブラジル、3位 日本)経済規模はいまだダントツの1位で、2位中国の2倍以上となっている。世界経済のけん引役として20世紀から影響力を行使し続けている。
 
同国では、経済と安全保障が密接に関係しており、世界中に軍事基地を配備し、それを支えるための技術開発によって経済を活性化している。特に、大きな戦争で経済的な利益を得ているという点では、世界で唯一の国といえる。
 
同国の経済規模の大きさと海外への影響度を考えると、世界景気に一番影響を与える立場といえる。しかし、近年は中国の台頭などもあり、以前のように経済政策を自国の状況のみで判断することは難しくなっている。12月17日にFOMCは量的緩和を終了し、利上げに入ったが、中国を中心とする世界経済の景気に気を配りながらのかじ取りとなっている。
 
食料自給率は100%を超えており、農業の国際競争力も高いため盤石な体制といえる。農家の高齢化が問題視されているが、遺伝子組み換え食品の積極的な普及を行うなど従来の農業の保護よりも、技術開発による新たな食料確保手段の開発に取り組んでいるという特徴もある。

 

輸出は、NAFTAによる3国間貿易(米国、カナダ、メキシコ)が軸となっており、航空機、燃料油、石油製品などの中間財や加工品が主力と言える。輸入では、中国がNAFTA(カナダ、メキシコ)を抑えて1位となっている。

欧州との貿易額が予想以上に少ない。一国の経済規模が比較的小さく、分散しているためでもあるが、地域別で見ても輸出入ともに3位となっている(下、地域別貿易統計より)。

地政学的に、ユーロの結成は米国から経済的主導権を取り返し、地域の覇権を西欧諸国に取り戻すためでもあった。このため、米国よりユーロ圏内の貿易に力を入れたことも影響している。この結果、米国にとって東アジアの存在感が構成比、伸び率共に大きくなっていることがわかる。

地域別貿易統計

輸出 (億ドル)
            億ドル   構成比 伸び率
NAFTA                           5,276.89   33.4%      3.8%
東アジア                        3,102.51        19.6%      7.0%
欧州(EU28)                         2,621.51        16.6%     -1.2%

輸入 (億ドル)
            億ドル  構成比 伸び率
東アジア                         6,734.16     29.7%    3.3%
NAFTA                               6,130.82    27.0%    1.9%
欧州(EU28)                          3,875.91     17.1%     1.5%

 

4.将来展望

人口動態では、スパニッシュ系の人口増に対して国内で反発が生まれている。
NAFTAで南北アメリカ大陸の資源を活用できるようになったメリットがあるものの、移民問題がじわじわ効いてきている状況だ。人口構成比率で白人がマイノリティになると、欧州とのつながりは益々細くなると考えられる。少数の白人が大多数の黄色人種を支配する社会になるのか、注目したい。

産業面では、シェール革命の将来が注目だ。元々シリコンバレーを中心に技術革新で世界をリードしている国が、資源輸出国になったときの世界に与えるインパクトは大きいだろう。太平洋戦争以前、日本は石油消費量の80%を米国からの輸入に依存していたこともあるので、国際的なパワーバランスを考えると日本へ与える影響も計り知れない。

また、経済発展の勢いがあるアジアに対し、従来の双子の赤字を垂れ流し続けることに対する危機感もあると思われる。TPPアジアの覇権国を目指す中国を牽制しながら、環太平洋の経済圏を掌握する戦略はきわめて重要であり、簡単にはあきらめないと考えられる。

トランプ次期大統領の政策で、TPPに参加しないことが決まりつつあります。グローバリズムの巻き戻しにより、保護貿易主義が台頭するかもしれません。

 5.投資方法

投資信託やETF、個別銘柄と株式に関しては取引自由度が非常に高い。NYSEやNasdaqには世界中の株式インデックスETFが上場しているので、国際投資ポートフォリオを組むには最適だ。ネット証券が力を入れているので、一般個人でもほぼ自由に取引できる。

 国債や金融派生商品などもあるが、素人は手を出さないほうがよさそうだ(含む自分)。せいぜいCFDで商品先物を取引するくらいにとどめておきたい。

マネックス証券
手数料が安く、米国、中国株の取扱量が豊富で4500銘柄も取引できる。

楽天証券
米国、中国、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア株など1900銘柄を取引出来る。

SBI証券
米国株、中国株、韓国株、ロシア株、ベトナム株、インドネシア株、シンガポール株、マレーシア株、及びタイ株を、約3100銘柄取引できる。

IG証券
CFDで世界No.1の会社。商品先物(金、原油、CRBなど)が豊富。

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