中国の影響力と将来展望

投稿者: | 2015年9月24日

中国は21世紀になり世界の工場として存在感を増し、マーケットとしての魅力も備え始めている。同国の経済的将来性を把握しておくことは重要と言える。一方、今年に入り経済の減速が鮮明になりイメージが変わりつつあるので、今後の変化点を抑えるべく、まとめてみた。

1.人口ピラミッド

0922 population balance china自然では起こりえないほどいびつな形をしている。国が大きく人口を把握できていないこと、一人っ子政策などで出産規制が敷かれていることなどが、原因と考えられる。近年の経済発展を担ってきたのは40-49歳の瘤になっている層といえそうだ。将来的な見込みでは現在25-29歳の層が尖っているので15年後くらいに経済的な盛り上がりを見せる可能性はありそう。

問題は、現在のティーンエイジャー(19歳以下)の急激な減少だ。25-29歳の層が厚いだけに、今の日本のようにデフレに落ち込む可能性もある。

合計特殊出生率は1.7-1.8程度とされているが、地域(香港は0.8)と政策で大きく変化するので、見通しとして考えるには値しないと言える。現在の人口構成比をもとにした国連の人口見通しを紹介する。

人口は2030年に頭打ちとなり、高齢者数の増加と若年層の減少を続けながら、2085年には人口がほぼ一定になると見込まれている。高齢者比率は日本(35%)とほぼ同等の34%と見込まれている。

労働人口はすでに減り始めているようで、社会で活動している15-64歳の消費物に対しデフレ圧力が係る可能性も高い。PPI(卸売物価指数)が3年連続のマイナスになっていることから、既に一部のデフレは始まっているのかもしれない。

経済的に豊かになったので、外国人労働者を招きいれて労働力を確保すると言う政策は考えられる。移民政策に対する共産党の考え方は未知なところが多いが、「国境を接する隣国とは敵対し、国境を接しない国とは友好を結ぶ」古典的な外交を続けている間は、思うように労働力の確保が出来るかは疑わしい。

2015年10月26-29日に行われた五中全会で「一人っ子政策の廃止」が決定された。労働力の低下に対し人口のコントロールで対応したようだ。政策がうまくいくかはしばらくしないと分からないが、40年来続けた政策の転換ということもあり、注目に値する動きと言えそうだ。

 

2.財政

0922 debt china1998年のタイバーツ危機の引き金を引いた通貨切り下げの際、公債をGDPの10%近く発行し、経済の救済をした形跡が残っている。

その後は、人口ボーナスも重なり世界の工場と言われる経済発展を遂げる中で、GDPの成長に見合った公債の発行を続けていた。

2010年以降は、世界金融危機の後始末で公債がやや増加傾向にある。今年の株式相場の乱丁と、不動産価格の不安定化に伴い、国営・民間企業救済のため公債が増える可能性は高そうだ。

0922 primary balance china基礎的財政収支(プライマリーバランス)はGDPの-1%以下と低い状態を維持している。公債が少ないので利払いを含めた財政収支も-1%程度になっている。

今後、公債発行で企業救済をするようだと金利も下げざるおえなくなってくるだろう。

 

 

0922 currency balance china

経常収支は安定的にGDPの3%に達する黒字を維持しており、基本的には貿易で稼いでいる。

GDPに対する貿易額の比率は約40%(日本 33%、米国 23%)で、外需依存型の経済構造といえる。

また、国内の内訳も固定資本投資(不動産投資など)が約50%、個人消費で約35%となっており、先進国、新興国共に個人消費が60%近い国が多い中で、固定資本投資が占める割合が大きいという特徴がある。

経済立て直しには、人民元の切り下げなどで輸出の国際競争力を上げて外貨を稼ぎ、不動産投資から個人消費への資金移動が起こるように、国内構造の改革が必要になる。

しかし、8月の人民元切り下げで明らかになったように、貿易のために通貨を切り下げると、通貨安を嫌う資本家が人民元を投げ打って国外逃避する、資本逃避(キャピタルフライト)が起こってしまった。

これでは、貿易で稼いだ富が国外に逃げて国内景気が落ち込むので、政治不安につながりやすい流れと言える。これは政府にとって最も避けたい事態だ。

対策として、資本流動性に対する規制などが行われているが、最終的には逆効果になるだろう。ましてや、株を売ったり、国外に資金移動すると逮捕されるなどと言うことは言語道断である。

一方で、中国政府が目指す大きな目標のひとつに人民元の国際化がある。資本逃避を避けるために人民元の国際化を推し進め、どこでも使える通貨にすることで、キャピタルフライトの影響を小さくできると考えているようだ。

このためのシンボリックなイベントとして中国政府がこだわっているのが、人民元のSDRへの採用だ。今後も、中国経済の安定化と人民元の国際化は密接に関わってくると予想される。

 

3.主要産業構造

概略
香港は1国2制度のため、判断に迷うので仮の順位付けとした。
データはJETROより。

GDP 1,250兆円 (103,804億ドル,120円,2014年)

通関貿易収支(2013年)
輸出 264兆円       (2兆2,090億ドル,2013年)
輸入 228兆円       (1兆9,499億ドル,2013年)

貿易比率(貿易額/GDP)   40.07%
 
食料自給率(穀物ベース) 約100%
 
GDPのうち貿易額が占める比率は約40%であり、GDPに占める貿易額の比率がやや高い。また、貿易黒字が2013年で約2,500億ドル(約30兆円)と大きく、貿易に大きく依存した経済構造になっていることが分かる。
 
近年は国内労働者の賃金上昇や通貨高などにより、輸出競争力がそがれていおり、内需主導の経済成長に切り替えるべく政策を展開している。発表されている経済成長率は、2015年では製造業が約5%、小売り・サービスが10%となっており、信憑性の問題はあるが、中国政府が内需主導の経済成長を目指していることがうかがえる。
 
食料自給率は100%となっているが、自国民を食べさせるために必要な農産物の生産力確保には慎重に取り組んでいる。歴史的に、飢饉で国が滅亡した経験を多く持っているので、伝統的な考え方があるようだ。
 
しかし、近代化に伴い農家と都市の格差が広がったため、対応に苦慮もしている。特に国民所得の増加に伴い、中国の農産物は輸出競争力の確保が難しくなっており農業の近代化が緊急の課題になっている。
 

地域別貿易統計

輸出 (億ドル)
                      構成比  伸び率
アジア                   11,347.06   51.3%      12.7%
欧州               4,057.75      18.4%        2.4%
北米                        3,978.38      18.0%        4.7%

輸入 (億ドル)
                   構成比 伸び率
アジア                 10,901.70    55.9%    5.0%
欧州                    3,241.91     16.6%  13.1%
北米              1,778.66      9.1%   13.9%

国別輸出入統計

輸出 (億ドル)
                   構成比 伸び率
(1位 香港                         3,847.92   17.4%      19.0%
1位 米国                           3,684.27      16.7%        4.7%
2位 日本                           1,502.75        6.8%      -0.9%
3位 韓国                               911.76        4.1%        4.0%
4位 ドイツ                          673.48       3.0%       -2.7%
5位 オランダ                      603.17        2.7%        2.4%

輸入 (億ドル)
                        構成比  伸び率
1位  韓国                           1,830.73     9.4%         8.5%
2位 日本                            1,622.78    8.3%        -8.7%
3位 米国                            1,525.75     7.8%        14.8% 
4位 豪州                              988.18     5.1%         16.8%
5位   ドイツ                           601.43     4.8%           2.5%

地域別の貿易では輸出入共にアジアが50%を超えており、アジアの資源と安価な労働力を軸に欧米への輸出を進めるモデルが見て取れる。

国別では、輸出は日米を軸に欧州も上位に来ている。オランダは電子機器の輸入が多いようだ。輸入に関しては韓国がトップとなっている。韓国は、日本から素材や中間加工品を輸入し、中国へ完成品を売るモデルが、貿易の軸となっていることが見て取れる。資源の輸入では豪州がトップで、輸入10位以内にはマレーシアやサウジアラビアなどの産油国も入っている。

 

4.将来展望

人口動態では、人口ボーナス期間は終わったようだ。当面は労働力人口の減少に注目が集まり、続いて人口減少問題によるデフレ対策が必要になることが見込まれる。一方で、内需の成長余地は大きい。沿岸部の工業化と都市化は進んだものの、内陸部に貧しい農民や、出遅れた都市戸籍の人口が数億人残っている。内需転換がうまく行けば年率6%のGDP成長を続けることも難しくはなさそうだ。

産業面では、高付加価値化が最も重要になりそうだ。国内だけでも量産効果が得やすいので、製品の開発サイクルを高くしなければ、すぐに値段が下がり利益を取れなくなる。そうでなければ、価格統制的な規制を導入して既得権層を生むことになる。景気減速に伴い、産業の変化が鈍化すると国営企業の改革も進まず、人民の不満が政府に向きやすくなる。経済成長が共産党独裁を正当化する理由になっている以上、産業の成長は必須条件となる。

当面は、製造業の高付加価値化と、国内の固定資産投資比率を下げ、個人消費を育てることが至上命題となりそうだ。

 

5.投資方法

世界中の証券会社が投資信託やETF、個別銘柄を取引できるようにしており、比較的株式に関しては取引自由度が高い。ただ、外国人向けは香港市場が中心になるので確認が必要だ。ネット証券も多くが力を入れているので、一般個人でもほぼ自由に取引できる。国債や金融派生商品などは金利自由化などが進んでおらず、商品として取り扱いがない。

内藤証券
上海A時株取り扱いを国内で最初に始めた会社で、中国株取引に力を入れている。

東洋証券
名前のとおり東洋の株式取り扱いが多く、情報も豊富。

・マネックス証券

・楽天証券

・SBI証券

など

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