資源豊富で若い国 ブラジル

投稿者: | 2015年12月27日

リーマンショック前まではBRICsの一角として持て囃された同国、近年は別の意味で注目を集めている。
2014年のサッカー・ワールドカップ、2016年はリオデジャネイロでオリンピックと国際的なイベントを一気にこなし、先進国の仲間入りを狙っている。一方、貿易面で資源輸出依存度が高い同国の経済はコモディティの下落で財政が悪化し、外貨建て国債の一部がジャンク債に格下げされるなど弱い部分も目立ってきた。
 
2016,2017年と話題の豊富な同国の財政をまとめておき、今後の投資に役立てたい。
 

1.人口ピラミッド

brazil-population同国の人口は約2.1億人、平均年齢29歳という若い人口構成である。言語はポルトガル語で、同言語を使う国としては世界最大の人口である。日系移民も多く150万人程が居住している。
 
インフラ設備が不十分なため、2014年のサッカー・ワールドカップや2016年のリオデジャネイロのオリンピックを契機に、インフラ整備を進めている。また、所得格差の大きいことでも知られており、これに伴う教育問題の解決が今後の発展の鍵となりそうだ。
 

2.財政

1990年代は同国の経済にとって受難の時代であった。1985年に軍政からから民政へと移行したが、放漫財政のツケやオイルショックの影響が後を引き、1990年に経済が崩壊、デフォルトの総額は620億ドル相当になり、その後もハイパーインフレとデノミを繰り返していた。
  brazil-total-debt1998年のロシアデフォルトにより、ブラジルが次にデフォルトすると噂され、同国の国債が大量に売られたため固定相場制を維持できなくなった。その後、IMFからの融資を受けたためデフォルトは避けられ、GDPの80%近くまで積みあがっていた同国政府の債務は70%程度まで下落した。このとき、為替も暴落したため、貿易黒字になり、経常収支と基礎的財政収支(プライマリーバランス)が急速に改善した同国は、この時の米ドル不足を教訓に、外貨準備高を順調に積み上げていった。
brazil-forign-currencey-stock 
 2014年で同国の外貨準備高は640億ドルへ積みあがっている。この金額は、10年前の10倍、輸入額の20か月分、短期債務残高の6倍と高い支払い能力を意味している。一方で、2014年後半からの原油安と中国景気の失速から貿易環境が悪化し、基礎的財政収支が赤字になり、経常収支も対GDP比で-4%になるなど、状況は悪化の一途をたどっている。
 
brazil-monetary-balance
 
これに追い打ちをかけるように、2015年9月にS&Pが外貨建て長期債の格付けをBB+へ引き下げ投資不適格債(ジャンク債)とした。これにより、毎年巨額の海外投資(640億ドル、7兆7000億円)に頼っている同国の経済状況は一気に悪化する可能性がある。
 

3.産業構造

データは外務省より
 
GDP 282兆円 (23,530億ドル,120円,2014年)
 
通関貿易収支(2014年)
輸出 29兆520億円
輸入 30兆480億円
 
貿易比率(貿易額/GDP)   20.94%
 
食料自給率(穀物ベース) 98% (2008年)
 
 
2014年 ブラジル開発商工省
輸出国 (%は全体に占める割合)
 
1位 中国           18%
2位 米国              12%
3位 アルゼンチン        6%
4位 オランダ          6%
5位  日本              3%
 
輸入国 (%は全体に占める割合)
 
1位 中国             18%
2位 米国             15%
3位 アルゼンチン          6%
4位 ドイツ             6%
5位 ナイジェリア                4%
 
 
2014年 ブラジル開発商工省
輸出品目 (%は全体に占める割合)
 
1位 一次産品(鉄鉱石、原油、大豆など)    48.7%
2位 工業製品(燃料油、航空機、自動車部品等) 35.6%
3位 半製品(粗糖、木材パルプ、鉄鋼半製品等)   12.9%
 
 
輸入品目 (%は全体に占める割合)
 
1位 原材料および中間財(化学・医薬品、鉱産物、輸送用機器付属品等) 45.0%
2位 資本財(工業用機械、事務・科学用危機等)                  20.8%
3位 石油及び燃料                                                        17.3%
4位 消費財(医薬品、食料品、乗用車、家庭用機械器具等)                          17.0%
 
同国の食料自給率は98%と高く、輸入に頼らなくても自国民を食べさせることができる広大で肥沃な国土がある。また、トウモロコシを原料としたバイオエタノールの普及が進んでいることも同国の特徴といえる。
 
GDPのうち貿易額が占める比率は約20%であり、GDPに占める貿易額の比率は主要国でもっとも低い。貿易は2000年から黒字が続いてきたが、2014年に再び赤字転落となった。主要輸出品である鉄鉱石と原油の下落が影響した。2014年後半から、コモディティ価格の下落と中国経済の失速により、同国の貿易環境は急速に悪化している。
 
同国の貿易構造は資源輸出型なので、コモディティー価格に依存することになる。貿易品目を見ても、輸出は一次産業品が上位を占め、輸入は中間財や資本財が上位を占めている。このため「安価に輸出した原材料を、外国が加工して高く輸入する」という構造の問題故、貿易赤字体質になりやすい。
 
貿易額を増加させ黒字化するには、国際競争力のある加工品の輸出が必要になるが、輸出2位の工業製品も下請け加工が多く、自動車や電気機器などのブランドを育成する必要がある
 
また、政治的に汚職や規制が多く、外資参入を妨げている側面もある。代表例としては、石油掘削会社のペトロブラス社がある。同社は外資を入れブラジル沖の深海油田開発を進めているが、汚職により約2兆円が政府関係者に流れ、政府要人の逮捕が続いている。これを発端に、同国は政治的にマヒ寸前の状況に陥っている。(「ブラジルの政治・経済不振が極まってきた!」参照)
 

4.将来展望

同国は広大で肥沃な国土と2億人を超す人口を有し、発展の余地は極めて大きい。一方で、伝統的に政治腐敗が多く、気質も楽天的なので高度な教育を受けられる機会が少ない。
 
特に政治腐敗は慢性化しており、2014年からの経済失速も政治的な側面が極めて強い。この状況を打開し、同国経済を立て直すには政権交代と法改正が必要になりそうだ。
政治の透明性を高める法改正を行い、外資が戻ってくる経済政策を行わなければ、若く人口も多い同国の人的資源を生かす機会は中々訪れなさそうだ。
 

5.投資方法

東京証券取引所では野村証券から提供されているインデックス型のETFがある。
 
 
決算:年1回
投資対象地域:中南米エマージング
為替ヘッジ:なし
対象インデックス:ボベスパ指数
 
為替ヘッジはないものの、南米最大の時価総額を持つボベスパ指数に連動している。

————————————————————————————————————————————-

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

世界経済についてマネーフローの視点で解説し、ポジショントークで儲かる方法を探していきます。

情報を共有するため、フォローやシェア、ブックマークなど、ご協力いただけるとうれしいです。

にほんブログ村 経済ブログ 世界経済へ にほんブログ村 株ブログ 外国株へ


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です