ユーラシア大陸の中心 トルコ

投稿者: | 2015年12月30日

2018年5月28日 改訂
 
トルコは地理的にユーラシア大陸の要に位置し、あらゆる外敵に脅かされてきました。20世紀はインフレとデフレを繰り返し、経済が安定することはなく、2001年に金融危機からIMFの管理下に入るなどしていました。
 
しかし、2003年にエルドアン首相が軍部の政治介入を排除し、民主的な国家づくりに取り組むようになってから同国は安定し始めます。その後、10年以上にわたり同首相が政権を握ってきましたが、2014年あたりからISISの台頭に伴い宗教対立が目立ち始めています。
 
2017年から米国が利上げを開始したため、経常赤字国の同国通貨が継続的に売られています。また、エルドアン政権が憲法改正を含む独裁体制を構築し始めており、中東の新たな不安の種になりつつあります。
 
 親日でFxの高金利通貨としても有名な同国の今後の経済環境を占うべく、まとめてみました。

1.人口ピラミッド

turkey-population首都はアンカラ。人口は約8000万人で、就労対象年齢(15-59歳)が人口の60%を占め、EU諸国とトルコ域内で最も人口の多い国である。公用語はトルコ語で、イスラム教(スンニ派、アレヴィー派)が大部分を占める。
 
経済的にはイスラム金融国家であり、日本からの投資は現状では行えない。その一方で、ボスポラス海峡横断鉄道トンネルを貫通させるなど、日本との経済的つながりは強い。
 
今後も日本との関係強化が期待されるが、イスラム教国家独特の政治体制と同国の地政学的条件の難しさから、思うような経済成長ができるか、予断を許さない。
 
 

2.財政

トルコはかつて、輸入代替や保護主義などを軸とする閉鎖的な経済運営と、財政金融面の規律欠如が原因で、たびたび経済危機に直面してきた。
 
しかし、2001年の通貨危機後に、IMFによる支援のもとで構造改革を実施し、脆弱な体質は是正された。これ以降、基礎的財政収支と債務残高の対GDP比はユーロ導入のマーストリヒト・クライテリアの基準値(単年度の公債発行額が対 GDP 比で3%を超えず、かつ累積債務の額が対 GDP 比で60%を超えないこととされている)をクリアするほど健全である。

政府債務残高の対GDP比 推移

 

基礎的財政収支の対GDP比 推移

図は世界のネタ帳より

 
リーマンショック後のトルコは金融緩和により一時10%を超える経済成長を遂げた。しかし、その副作用で2010年には経常収支が-8%を超えたため、2011年より非伝統的な金融政策を行った。政策金利を下げ、預金準備率を引き上げるという内容だった。景気拡大中に金利が引き下げられたためマーケットは当惑したが、同国中銀によると利下げはキャリートレードによる資金流入を抑制し、預金準備率引き上げは銀行貸し出しの抑制を狙ったものだと主張した。
 
2015年は、景気減速による金利引き下げに加え、米国の利上げ観測に伴い、リラが史上最安値に近づいた、その影響でインフレ率の上昇が心配されたが、原油安のおかげで7%程度に踏みとどまっている。
 
同国の経済の弱点は大幅な経常収支赤字と多額の対外債務である。経常収支赤字は過少貯蓄が原因となっており、国外への資金逃避が止まらない状況ともいえる。これに対し、政府も年金基金の設立や民間貯蓄の奨励をしているが短期的には成果が上がっていない。
 
外貨準備高の推移
図は世界のネタ帳より
 
また、資金逃避の原因の一つに自国通貨への信用の低さがある。同国は短期対外債務が外貨準備高を超えているため、投資が細ると国内から資金が逃げやすい。その結果、為替が不安定になり金利の乱高下を経て経済が疲弊してしまう。対外投資をうまく活用し、貯蓄を増やせば海外の影響で不安定化することもなくなると考えられる。
  
同国の国債格付けは、2016年のクーデター未遂事件などの影響で、ジャンク債とされるダブルBへ引き下げられている。現状は債務の対GDP比率が低いため安定的とされているが、トルコリラ下落やその影響による物価高騰が続くようだと、更なる格下げが予想される。エルドアン大統領による中央銀行の独立性を脅かす発言も、同国の信用を低下させる一因となっているようだ。
 
 

3.産業構造

データは外務省より
(為替 110円/ドル)
 
GDP 94兆円 (8,567億ドル,2016年 8,001億ドル,2014年)
 
 
通関貿易収支
輸出 15兆6,860億円 (1,426億ドル,2016年 1,577億ドル,2014年)
輸入 21兆 8,460億円 (1,986億ドル,2016年 2,422億ドル,2014年)
 
貿易比率(貿易額/GDP)        39.8%
 
食料自給率(穀物ベース)        111% (2011年) 農林水産省より
 
2016年 トルコ経済相手
輸出国 (%は全体に占める割合)
 
1位 ドイツ                8.6%
2位 イラク                  7.1%
3位 イラン               6.5%
 
輸入国 (%は全体に占める割合)
 
1位 ロシア                 11.3%
2位 中国                      9.0%
3位 ドイツ                   9.0%
 
輸出品目(%は全体に占める割合)
 
1位 貴金属            10.7%
2位 自動車及び部品           9.9%
3位 一般機械              7.9%
 
輸入品目 (%は全体に占める割合)
 
1位 石油・天然ガス       25.4%
2位 機械類                        11.1%
3位 鉄鋼                                    8.3%
 
同国の食料自給率は111%と高く、輸入に頼らなくても自国民を食べさせることができる。農産物も小麦、大麦をはじめとした主要穀物から、綿、ヘーゼルナッツなど多彩である。
 
 
GDPのうち貿易額が占める比率は約40%であり、2014年の50%から低下したものの、貿易が同国に与える経済的影響は極めて大きい。エネルギー資源の乏しい同国は慢性的な貿易赤字体質であり、高い経常収支赤字の主因ともなっている。
 
輸入品目の筆頭はダントツでエネルギーである。ISなどによる地域の治安悪化は原油価格高騰を引き起こし、トルコ経済にダメージを与えた。また、治安の悪化が貿易の伸びを抑えることにもなった。
 
同国の輸出品目は自動車がトップ3に入っており、工業化による成長の余地は大きいといえる。輸出を増加させ貿易黒字化するには、国際競争力のある加工品の輸出が必要になるので工業製品のブランドを育成する必要がある。

4.将来展望

同国はユーラシア大陸の中心にあり、古くからシルクロードの重要拠点として商業的にも栄えてきた。この地の利を生かし、経済発展するためには対外投資依存の経済構造を改善する必要がある。
 
西洋、東洋の知識が集まり、高い教育水準も誇る同国が、貯蓄率の向上による財務安定化を達成すればさらなる投資を呼び込むことが期待できる。
 

5.投資方法

東京証券取引所では取引できる銘柄は、今のところない。
しかし、米国市場でトルコへ投資できるETFが上場されており、日本の証券会社からも買うことができる。
 
市場   :NYSE, Arca
ティッカー:TUR
ETF名   :iシェアーズMSCIトルコインベスタブルマーケットインデックスファンド
 
市場   :ロンドン
ティッカー:ITKY
ETF名   :iShares MSCI Turkey
 
取引できる証券会社:楽天証券、SBI証券、マネックス証券

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