貿易から内需へシフトできるか? 韓国

投稿者: | 2016年1月3日

2015年末、慰安婦問題を電撃的に進展させ2016年から日本とのかかわり方を変えていくことが見込まれる同国。
2000年代は、日本から輸入した技術を同国財閥のブランドで輸出し急激な経済成長を遂げました。近年は、経済関係の軸を日米から中国へ移しつつ、輸出競争力の維持と内需拡大に取り組む段階に入っています。
 
経済面で日本と競合する貿易品が多く、地政学的にも東アジアで最も近い同国とは、今後も協調と摩擦が続きそうです。 

1.人口ピラミッド

 
korea-population首都はソウル。人口は約5,000万人である。近年、特殊出生率が1.30(2012年 世界220位)となり、人口増加率も0.4%へ落ち込み、深刻な高齢化が問題となっている。
 
労働者の平均年齢は44歳になり、高額消費をできる年代層が人口比率のピークを迎えつつある。
 
この状況の中、輸出主導で経済成長を遂げてきた同国は成長率の低下に伴い、消費・サービスなど内需拡大に経済構造を転換していく段階にある。
 
この過程で経済成長と人口問題に対処するには、貧困率の低下、女性活用、出生率の増加など、相矛盾する課題を解決していく必要がある。

2.財政

同国は1980年代に軍政から民主政治に変更して以来、自国の人口が少ないため、内需拡大よりも工業化と輸出による外貨獲得を推し進めてきた。

この結果、国内の経済が十分に育っておらず、GDPのうち貿易額が占める比率は約80%となっている。

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経常収支の推移

一方、貿易推進の成果で、財政収支、経常収支ともに安定した黒字を誇っており、外貨準備高も潤沢になっている。
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外貨準備高の推移

2010年ごろからは、中国経済の失速が主な原因となり、貿易額が頭打ちになりつつある。また、国内の格差是正の必要が高まってきたこともあり、政府債務を拡大し、財政赤字を出しながら国内投資に資金を向け始めている。
 
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政府債務残高の推移

同国は急速な高齢化が進んでいることもあり、今後見込まれる福利厚生費を賄いながら政府債務の拡大を制御できるかが注目される。

3.産業構造

データはJETROより
 
GDP 170兆円 (1兆4,170億ドル,120円,2014年)
 
通関貿易収支(2014年)
輸出 68兆7,240億円 (5,727億ドル,120円,2014年)
輸入 63兆    720億円 (5,256億ドル,120円,2014年)
 
貿易比率(貿易額/GDP)        77.47%
 
食料自給率(穀物ベース)        26% (2011年)
 
2013年
輸出国 (%は全体に占める割合)
 
1位 中国                                26.1%
2位 米国                                       11.1%
3位 日本                                 6.2%
(4位 香港                                                                  5.0%)
5位 シンガポール                                                   4.0%
 
輸入国 (%は全体に占める割合)
 
1位 中国                                    16.1%
2位 日本                                       11.6%
3位 米国                                     8.1%
4位 サウジアラビア                                                7.3%
 
輸出品目 (%は全体に占める割合)
 
1位 電子・電気製品                            32.2%
2位 機械類                                29.6%
3位 輸送機械                               20.5%
4位 化学工業製品                                                   12.4%
 
輸入品目 (%は全体に占める割合)
 
1位 鉱産物(石油、鉱物などエネルギー)  38.8%
2位 電子・電気製品                          17.9%
3位 機械類                                                 12.3%
4位 化学工業製品                                                    10.2%
 
同国の食料自給率は26%と低く、OECD(経済協力開発機構)34か国で32位となっている。主食であるコメの自給率も2015年に83.1%(2010年基準)となっており、減少に歯止めがかからない状況だ。温暖化などの気候変動に加え、急速な工業化やFTAによる農業自由化で、国内の農業が等閑にされた結果であると言もわれている。
 
貿易品目から、資源の乏しい同国では資源・エネルギーの輸入がトップとなっており、輸入全体での比率も40%近くになっている。
 
輸出は電子・電気製品と輸送機器が上位を占めているが、輸入も産業機器が大きな比率を占めている。同国では中間加工品を輸入し、最終消費財を輸出する加工貿易が主流となっている。一方で、素材加工はまだ発展途上の段階である。
 
今後、同国が世界の工場の一角を占めていくには、素材から最終製品までカバーできる、すそ野の広い経済構造を作っていくことが課題となりそうだ。 

4.将来展望

1990年代後半から工業化を進め、アジア通貨危機でIMFの管理下に入ったものの、中国の経済成長に乗って急速な経済成長を遂げた。
 
通貨を安く抑えることで人件費などの国際競争力を維持しつつ、輸出産業を育ててきた同国は、輸出で得た利益を、海外や輸出型企業に優先的に投資することで、外貨を蓄えることにも成功している。
 
2015年の米国利上げで再び通貨危機に陥る可能性を指摘されているが、潤沢な外貨と各国との通貨スワップ協定により、1998年のアジア通貨危機時とは比べ物にならないほど経済の安定感は増している
 
今後は産業の競争力を維持しながら、高齢化の進む国内の福利厚生を整えていくことが課題となりそうだ。 
 

5.投資方法

東京証券取引所では複数のetfが上場されており、韓国資本のIT企業なども上場している。日本と貿易品目で競合が多い同国に対し、為替相場に合わせて投資資金を振り向けることでリスクヘッジとして活用もできそうだ。
 
 
 
 

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